よくあるご質問

1.土壌消毒について:栽培における土壌消毒とは「連作障害防止対策」である。

土壌消毒の目的とは何か?

土壌中の微生物は多ければ多いほど作物にとって良い環境となる。併し毎年同じ作物を栽培しているとその作物を好む微生物が特出して多くなり、連作障害となる。特出した微生物を殺菌し、多種類の微生物をきっ抗させるのが土壌消毒の目的である。

従来の太陽熱土壌消毒とどこが違いますか?

従来の太陽熱土壌消毒では太陽熱による地表からの加温だけなので地表下15cm位しか消毒できず、消毒後に耕起すると消毒されていない部分の病原菌が混合し効果は全く無くなるおそれある。本システムでは上(地表)からの太陽熱と下からのパイプによる加温の併用のため深さ80cm程度まで消毒される。又消毒後に耕起しても安心である。

45℃で消毒できるか?

保持している時間による。短時間で病原菌(線虫)を殺すのには55℃以上必要であるが数日間45℃を保持していれば消毒は可能である。

土壌消毒において悪い菌だけではなく、良い菌も殺さないですか?

土壌消毒は菌の種類を選ばず全て殺菌する。併し空気中又は土壌中には微生物は無数にあり土壌の環境が快適であればすぐに多種類の微生物が繁殖する。微生物の付着が少ない刺身でも常温に数日間も放置すれば微生物で満たされ、食べられなくなる。微生物は十数分で細胞分裂を起こし2倍になるので環境さえ良ければ1日で元の微生物の量になる。一旦微生物を殺菌し,後に微生物入りのたい肥を土壌に投入する。

他に土壌消毒の方法はありますか?

熱水消毒、蒸気消毒等あるが水やエネルギーの消費が大きく、設備費が高く、効果が十分でない等の理由で現在下火になっている。他に農薬による消毒があるが農薬による土壌消毒では作物の根の中に入った微生物(病原菌)は殺菌できない。本システムでは熱による殺菌のため土壌中の微生物も作物中の微生物も殺菌する。又農薬による殺菌では病原菌は毎年農薬に対する抵抗力が増し徐々に効果が低下するが、本システムでは抵抗力は増すことはない。因みに「地中加温」は物理的農薬剤として農林水産省に登録されている。

夏期の土壌消毒は何日位かかりますか?

天候に大きく左右される。パイプを60cmに埋設した場合、30cm位が一番い温度上昇が遅くなる深さである。45℃になるのに早い場合は約1週間位、天候が悪いと1ヶ月位の時も有る。深い部分はパイプでの加温なので天候は関係ないが浅い部分は天候に左右される。特に外気温よりも圧倒的に熱量の多い日射量に左右される。

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2.地温および地中加温について

地温は何故必要か?

自然界においては、深い場所の地温は一定でほぼ年間平均気温と同じになる。この気温と地温が夫々最適となると植物が良く生育する。農作物も同様である。併しハウスでは地温は常に気温よりも低いため(下記参照)、気温を最適にしても最適地温は得られない。従い温風暖房機によって室内最適気温を保てるので、別途最適地温の確保が必要となる。

何故 ハウス内において地温は気温(室内温度)よりも低くなるのですか?

自然界において太陽光は空気を温めない。晴れた日の昼間には太陽光は地表に到達し、まず地表を温め、その後温められた地表が空気を温める。夜間には地表から放射冷却により熱は宇宙に放射される。地表が放射により冷却され、後に地表が空気を冷却する。従い地温と気温はほぼ同じになる。ハウスでは、ハウス内に植物、黒いマルチシート等があるため太陽光は地表に到達しない。植物に入射した太陽光は葉からの水分蒸発および空気を温める。また黒いマルチシートに入射した太陽光は、まず黒いマルチシートを温め、その後一部が土壌を温め大部分が室内空気を温める。また温風暖房機は室内空気を温めるだけで地温は気温より低くなる。

従来の地中加温と本システムとはどこが違いますか?

従来から地中加温は行なわれ増収効果は確認済で一時期、数多く実施された。併し従来はパイプの埋設深さが20cm前後と浅いため耕起することができず、耕起の都度、パイプの撤去・埋設の重労働が必要となる。更にパイプが作物の根に近いため、根の付近の温度が不均一になる。又制御面で土壌が所定の温度に達するとセンサーでボイラの運転を停止するが根の付近の温度はしばらく上昇し設定温度よりも高くなる。即ち温度むらが発生し生産が安定しない。然るに本システムではパイプの埋設深さは60cmのためそのまま耕起ができ、又温度制御も遠くから、ゆっくりと行なうため、温度むらなく生育が安定する環境になる。

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3.放熱パイプについて

放熱パイプの埋設もやってくれますか?

原則としてパイプの埋設はユーザーにお願いしている。これはユーザーにパイプがどこに、どの位の深さに埋設されているのか認識頂き、パイプの破損を防ぐためである。

放熱パイプは劣化しませんか?

太陽光などの紫外線に当らなければ劣化しないと考えて良い。

万一埋設パイプを切断した場合修復可能ですか?

現在使用中のパイプは熱融着可能な材質のため切断場所をヘッダーのボールバルブにより確認し熱融着で修復できる。

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4. 本システムによる特記事項について

本システムにより省エネルギーになりますか?

太陽光エネルギーの有効活用には太陽光を出来るだけ土壌に蓄熱することである。昼、エネルギーは十分に足りハウスの天井を開放する場合もある。農作物に入射した太陽光は土壌には達しないが、現在使用されている黒いマルチシートを撤去することで太陽光の一部は土壌に蓄熱され夜間に熱を放出するので省エネルギーとなる。黒いマルチシートは雑草防止のために敷設するが本システムの土壌消毒により雑草の種子を死滅させるので黒いマルチシートは不要となる。
米国の文献では地温を最適温度に保持すれば夜間の室内温度を30~50%下げることが可能で熱損失が減少し省エネルギーになると公表している。我国でも本システムにより群馬県のキュウリは気温を17℃から13℃に又高知県のショウガでは20℃を16℃に下げ岩手県のゆり栽培では30%の省エネと品質向上効果を確認している。

本システムによる増収効果の事例はありますか?

基本的には地温の最適気温が確保できるため全ての作物で省エネ・増収効果が確認されている。宮城県のイチゴ、宮崎県のマンゴー、群馬県のキュウリ、高知県のショウガ福島県のアスパラガス等がある。

本システムによる残滓(収穫後の葉、茎、根など)の鋤きこみは可能ですか?

本システムによる土壌消毒の前に、作物の残滓を土壌に鋤きこむ。土壌消毒時は透明なマルチシートを使用するが、栽培中は地表にマルチシートは敷設せず地中加温すると下記効果が期待できる。
1.残滓を処分する手間が省ける。
2.残滓が微生物によって分解され肥料となる。
3.微生物の呼吸により夜間・昼間でCO2ガスが発生する。一般的に昼間はCO2が光合成によって吸収されて室内の空気中のCO2濃度が低下する。
4.微生物による分解で熱が発生し、土壌が温められる。

残滓鋤きこみは本システムによる熱消毒の土壌だけに可能である。
シートを敷設すると土壌中に酸素が入らないので微生物が活性化しなくなる。

本システムによる特記すべき事例を紹介してください。

1)定植時に地温が確保されていれば苗は元気に育つ。特に根の生育が良くなるので成長が速くなり定植時期は関係なく栽培計画が立てられる。
2)群馬県のキュウリ栽培では昨年12月8日定植し今年1月4日に出荷できた。又相場が落ちている時は地中加温せず生育を遅らせ相場を見据え出荷調整を可能とした。
3)岡山県では、ぶどう栽培で地温管理によって出荷を早め、無加温ハウスでの出荷と合せ出荷期間を延ばすことができた。
4)福島県では従来5月出荷のホワイトアスパラガスが今年2月に本システムで地中加温した所3月出荷できた。来年は2月出荷も検討中である。
5)土壌消毒実施後ハウス内の農薬使用しない殺菌による作物は有機JAS認証取得が可能である。
6)我が国は現在設置済みの施設ハウス実面積は約520,000千m2、即ち10@ハウスが520,000件設置されている。仮にこれらのハウスに薪炊き温水ボイラによる地中加温を設置すると年間1200~1400万トンのCO2ガスが削減できる試算がある。まだ地中加温による省エネ効果は公的には認知されていませんが、今後排出権取引には薪使用の場合、大きな潜在マーケットがあるものと思っている。

ラジアントシステムは特許登録してありますか?

2件の特許登録がある。

設備費はどの位ですか?

ハウスの大きさ、形状、地域などによって異なるが、ハウスの条件等を提示して頂ければ無料で見積をする。大体の目安としては1000m2、灯油ボイラで160万円前後、バイオマス薪ボイラで300~350万円と考えている。

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