根圏域を温めて作物の最適な環境により生育を促進 地中加温のメカニズム

地中40~60cmと比較的深いところに放熱パイプを埋設し、50℃程度の温水を循環することで、根の周辺の最適温度を維持。作物の生育を促進させ、増収を実現します。千葉県農業総合研究センターとの共同実験においてはトルコキキョウの収穫期が約10日、長野県果樹試験場でのオウトウの収穫期が6日早まり、宮城県農業・園芸総合研究所でのイチゴ栽培では23~30%の増収となりました。

果菜類の最適温度・限界温度

育てる果菜類によって最適温度は異なりますが、それぞれの状況に合わせた温度調節が可能です。

果菜類 昼気温 夜気温 地温
最高
限界
適温 適温 最低
限界
最高
限界
適温 最低
限界
ナス科 トマト 35 25~20 13~8 5 25 18~15 13
ナス 35 28~23 18~13 10 25 20~18 13
ピーマン 35 30~25 20~15 12 25 20~18 13
ウリ科 キュウリ 35 28~23 5~10 8 25 20~18 13
スイカ 35 28~23 18~13 10 25 20~18 13
温室メロン 35 30~25 23~18 15 25 20~18 13
マクワ型メロン 35 25~20 15~10 8 25 18~15 13
カボチャ 35 25~20 15~10 8 25 18~15 13
イチゴ 30 23~18 10~5 3 25 18~15 13

『施設園芸ハンドブック』による

地中加温のメリット

1 反収が増え,秀品率も上がる→経営の安定化

定植後健康な根の成長を促すこと。そのため深層地中加温がお手伝いします。長く多くの根が養分・水分を容易に汲み上げるため体(茎)が太く丈夫にできる。花芽がつき実ができる間隔が短くなり収穫が増える。

2 促成・抑制栽培で差別化ができる→増収・労働力の分散化

時期・場所選ばずいつでも定植可能で効率の良い労働力の配分が可能である。

3 温風暖房だけに比べて燃費が少ない→省エネ化

根圏域を最適温度に維持すればハウス内温度を3~5℃下げられると米国の文献に記載されている。
岩手県のユリ栽培では30%、群馬県のキュウリ栽培では17℃を13℃、高知県のショウガ栽培では20℃を16℃に下げ大幅な省エネ効果が確認されている。

4 停電・機械の故障等でも土壌の蓄熱が作物を守る→リスク管理

長野県の青木村で大雪のため停電が約1週間続いたが作物には影響なかった。もし温風煖房機のみの場合は作物への影響は避けられない。

5 足元から体が温まり軽装で作業がはかどる→省力化

土壌消毒実施のハウスでは農薬散布機を背負う必要もなく、帽子、マスクも必要なく効率よく作業ができる。

6 有機作物の周年栽培による増収→差別化

女性・高齢者でもカンタンに手間もかからず効果的な熱消毒法であり、有機作物の周年栽培が可能になります。

有機作物の周年栽培で増収を実現!そのメカニズムをくわしくチェック

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